はじめに
ITポートフォリオ管理とは、企業のIT資産を戦略的に管理し、最大限の価値を引き出すための手法です。ITポートフォリオ管理については、こちらの記事もご参照ください。これにより、コスト削減、リソースの最適化、リスク管理が可能となり、企業全体の効率を向上させることができます。今回は、ITポートフォリオ管理を未導入の企業が導入を進めるに際し、概ね下記プロセスを踏めば効率的に進められるのではというポイントを整理してみました。参考にしてみてください。
ステップ0：目標設定と初期戦略の策定
まずは、ITポートフォリオ管理の導入によって達成したい目標を大まかに設定します。具体的な目標設定は後の段階で詳細に行いますが、初期導入段階ではどのような効果を期待しているのかを明確にすることが重要です。例えば、以下のような目標を設定します。
- ITコストの削減
- IT資産の利用率向上
- リスクの軽減
この段階では、目標を具体的に掘り下げる必要はありません。企業全体で共有する初期的なビジョンを持つことが重要です。
ステップ1：現状の把握
次に、現在のIT環境と資産を調査します。この段階では例えば以下のような要素を洗い出します。
- 既存のシステム、アプリケーション、インフラストラクチャ
- 各資産のコスト、利用状況、パフォーマンス
- 現在のITガバナンスと管理プロセス
この情報を基に、ポートフォリオの初期管理対象や粒度を検討していきます。
ステップ2：ツールとプロセスの選定
ITポートフォリオ管理を実施するための適切なツールを選定します。市販のソリューションや社内開発のツールなど、企業のニーズに合ったものを選びましょう(まずはExcel管理でも充分かと思います)。また、ツールの選定と並行して、ITポートフォリオ管理のためのプロセスを設計します。これには、資産の登録手順、定期的なレビュー、評価の方法、報告の体制などが含まれます。
ステップ3：導入とトレーニング
選定したツールとプロセスを実際に導入します。この段階では、システムのセットアップやデータの移行が行われます。また、ITポートフォリオ管理を効果的に運用するためには、担当者や関連部署へのトレーニングが不可欠です。新しいツールの使用方法や管理プロセスについて教育し、スムーズな運用をサポートしましょう。
ステップ4：モニタリングと改善
導入後は、定期的にITポートフォリオ管理の効果をモニタリングし、必要に応じて改善を行います。KPIを設定し、目標達成度を測定することで、管理プロセスの有効性を評価します。改善が必要な箇所を特定し、継続的な最適化を図ることが重要です。
まとめ
ITポートフォリオ管理の導入は、企業のIT戦略を一段と強化するための重要なステップです。目標設定から始まり、現状の把握、ツール選定・導入、モニタリングといったプロセスをしっかりと踏むことで、効果的なポートフォリオ管理につなげていけるかと思います。これから導入を考えているみなさまの参考になれば幸いです。
